司法書士試験に最終合格して、現在休職中なのですが、研修までの間時間がある状態です。
あまり、子供の性被害について記事を書いていると「性被害マニア」と思われ、近づいてくる人間が減ってしまう恐れがあります。
そのため、あまり頻繁には書きたくないのですが、「これはひどい」という事件を目にしたので書かせてもらいます。
事件の概要
この事件は、山梨県内に住む40代の会社員の男が、10代の義理の娘に繰り返し性的暴行などをした罪に問われた裁判で甲府地裁は「長年に渡る常習的な犯行で極めて卑劣」とし、被告に懲役9年の実刑判決を言い渡したというものです。
地裁判決なのでまだ確定するかはわからないですが、極めて悪質な事件だと思います。
被害に遭ったとき被害者はまだ13歳だったのですが、これは私が中学時代に担任で部活の顧問から性被害に遭った時と同じ年齢です。
この事件の被害者はおととし8月から今年の2月まで常習的に性被害あったそうですが、私が中学時代に被害に遭ったのも、中学1年の10月から中学3年の卒業時までくらいなので、期間的にもさほど変わらないと思います。
そのため、ちょっと他人事とは思えない感じもします。
典型的ともいえる口止め
子供に対する性加害だけでなく、体罰問題についてもそうなのですが、大半の加害者は被害者に口止めをします。
今回の事件の加害者は、「バレたら家族が壊れる」と被害者に口止めをしたそうですが、私の場合は「お前のことなど誰も信じない」「俺がいなくなったらお前は脅される」といった感じの内容でした。
また、部活の同級生たちのことを持ち出され「俺がクビになったら顧問がいなくなる」「あいつらの努力を無駄にするのか」というのもありましたっけね…。
体罰問題などでは「みんなの事を考えろ」「お前ひとりのチームじゃない」と言って口止めをする人もいるそうです。
それぞれ内容は違うのですが、思考回路は同じだと思います。
キーワードは「子供に罪悪感や恐怖心を抱かせる」という事だと思います。
加害者は本当に反省しているのかについて
この事件の加害者は、判決言い渡しの時に被告は真っ直ぐに前を向き、裁判長の言葉に何度も小さくうなずいていたといいます。
これを読むと「少しは反省したのかな?」と思う方もいるかもしれません。
ただ、ひねくれものの私は「判決を言い渡されたときに、裁判官に対して『だから何だってんだよ』などという態度をとる人間などいるわけがない」と考えてしまいます。
ちなみに、私の件で申し訳ないのですが、私は加害教諭に中学時代に奪われた下着の返還を求めて訴えを提起し、勝訴した後に、訴訟費用返還請求をしてみました。
すると、加害教諭からはこのような手紙が来ました。
「本当に迷惑をおかけしました」だそうです。
しかし、加害教諭はこの件に関して取材をしたいといった記者の方を無視したままです。
これは加害教諭が出した答弁書ですが、下着については「もらっていい?」と尋ねたそうです…。
プレゼントをしたつもりは一ミリもないのですが…。
近親者による加害の多さとその実態
今回の事件は、養親の養女に対する性加害というケースでしたが、子供が近親者から性被害に遭うといったケースは非常に多いです。
家の中までは他人の目が行き届きにくいといった事情もあると思います。
近親者などによる性加害が行われた場合、被害を受けた子供たちは信頼していた人間に裏切られたという感情からか、強い混乱と苦しみを感じやすくなります。
また、「家族」や「親しい人」という心理的信頼が悪用されるため、被害を告白すること自体が難しくなる傾向があります。
誰もが「助けてあげたい」と思うのですが、本当に難しい問題です。
子供の心に残る「深い傷」:年齢が若いほど深刻な影響
被害を受ける年齢が若いほど、子供の心に残る傷は大きく、長期的に影響を及ぼすとされています。
幼少期に性被害を受けた場合、自己肯定感が低下したり、他者との信頼関係を築くことが難しくなったりします。
自己肯定感が低下するのは性加害だけが原因ではない
これについては少し捕捉したいのですが、自己肯定感が低くなるのは性被害によるものだけではありません。
この事件の加害者のように、通常、子供に対して性加害を行う人間は、被害者に何かしらの形で口止めをします。
さらに、口止めだけでなく、被害に遭った子供が、万が一にも抵抗できないように暴力をふるったり、言葉で脅すことがあるのです。
私の場合も「お前は俺がいないと何もできない」と繰り返し言われました。
そうなると、最初は「そんなことはないだろう」と思っていても、そのうちに「自分が何かうまくいっていたのは加害者のおかげなのではないか」「加害者の言っていることは本当なのではないか」などと信じてしまいます。
一種の洗脳です。
性加害とこういった洗脳行為が重なった場合、被害者は深い心の傷を負うことになります。
自分でもわからないくらいの対人関係の混乱
被害に遭った人間からすると、対人関係を築くことが困難であることについては容易にわかります。
これは私の体験なのですが、中学時代は正直どうでもいいのですが、高校に入ってから対人関係を築くことが非常に難しくなりました。
私の通っていた学校は、船橋市でそこそこ有名な進学校で、それほど問題のある生徒はいませんでした。
ただ、少しでも意見などが違う場合は「嫌われるのでは」「嫌がらせをされるのではないか」と考え、その相手を避けるようになりました。
相手からすると「なんで?」といった感じですよね。
当時は自分でも説明できない感覚に戸惑っていました。
現在は、この間司法書士試験に合格したこともあり、少しずつ改善されているとは思うのですが、時折「被害に遭う前の小学生の頃ってどうだったんだろう?」と考えることがあります。
性被害を受けた子供へのサポートの重要性
今回の事件の被害者はおそらく現在15歳か16歳だと思います。
おそらく現在でもメンタル面のケアを受けていると思います。
もしそうであるのならば、そのケアをできるだけ継続してほしいと思います。
近くにいる人が親切にすることも大事なのですが、信頼できる専門家に相談できることも非常に大事なことです。
犯罪被害者等基本法には、被害者の経済的支援や医療的支援などが定められています。
おそらく現在でもこれらの支援を活用していると思いますが、活用できるものはしっかりと活用してほしいと思います。
犯罪被害者支援の拡大について
たしか、岸田元首相は、犯罪被害者等への経済的支援を大幅に充実・強化の方針を打ち出していたと思います。
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202406/04hanzaihigai.html
改正総合法律支援法では、被害者に心身に重大な故障がある場合に被害者が継続的に援助を受ける体制を整えることの必要性について定められています。
(被害者等の援助等に係る態勢の充実)
第六条
総合法律支援の実施及び体制の整備に当たっては、被害者等(犯罪により害を被った者又はその者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹をいう。以下同じ。)が刑事手続に適切に関与するとともに、被害者等が受けた損害又は苦痛の回復又は軽減を図るための制度その他の被害者等の援助に関する制度を十分に利用することのできる態勢の充実が図られなければならない。
先ほどこの法律を見て少し驚いたのですが、この法律には司法書士も含められているんですね。
(目的)
第一条この法律は、内外の社会経済情勢の変化に伴い、法による紛争の解決が一層重要になることに鑑み、裁判その他の法による紛争の解決のための制度の利用をより容易にするとともに弁護士、弁護士法人及び弁護士・外国法事務弁護士共同法人並びに司法書士その他の隣接法律専門職者(弁護士、弁護士法人及び弁護士・外国法事務弁護士共同法人以外の者であって、法律により他人の法律事務を取り扱うことを業とすることができる者をいう。以下同じ。)のサービスをより身近に受けられるようにするための総合的な支援(以下「総合法律支援」という。)の実施及び体制の整備に関し、その基本理念、国等の責務その他の基本となる事項を定めるとともに、その中核となる日本司法支援センターの組織及び運営について定め、もってより自由かつ公正な社会の形成に資することを目的とする。
さすがに「餅は餅屋」なので司法書士が係ることはそれほど多くないと思うのですが、責任重大だと思います(まだ登録していませんが…)。
犯罪被害に遭った場合、対人恐怖やメンタル面での問題から社会復帰するのが非常に難しくなります。
こういった問題について、日本はまだまだ遅れていると思います。
石破政権になってどうなったかはわからないですが、犯罪被害者に対する支援を拡大していこうとした、岸田政権の方向性は引き継いでいただきたいと思います。
まとめ
日本は「加害者天国」と言われるほど加害者に優しく、被害者に厳しい国と言われています。
犯罪を減らすためには加害者の更正が必要なことは事実でしょうが、加害者の社会復帰が大事なのであれば、それ以上に被害者の社会復帰などに力を入れる必要があると思います。
また、私が子供のころから、子供に対する体罰や虐待、性加害の問題はありましたが、そういった問題は後回しにされてきました。
現在は警察の動きが少しずつ早くなっていると思いますし、学校の対応も昔に比べると改善していると思います。
ただ、悲惨な事件は後を絶ちません。
時間はかかると思うのですが、警察や法律専門家や行政の力を出し合って、取り組んでいく必要があると思います。