私はスポーツにおける体罰については厳しい見方をしています。
指導の際に暴力を用いるなどあってはならないことだし、暴言もあってはいけないことだと思います。
ただ、最初からそう考えていたわけではありません。中学時代には「強くなるためには殴られても仕方ない」と考えていました。
その考えが変わるきっかけになったのが高校時代です。
今回から何回かにわけで高校時代の話をしていきたいと思います。
この話を通して私が伝えたいのは以下の点です。
- 子供は出会った大人の影響で良くも悪くもなるという事
- かつて問題のあった教師であっても、自分で意識することで問題をなくし改善することが可能だという事
- 他人への尊敬と言うものは、「人間教育」などと言って押し付けられるものではなく、自分が敬いたい人間に対してするものだという事
- 人間は自分の選んだ道でなくても、結果として自分の人生にとって大切な体験をすることがあり、その体験が自分の支えになるという事があること(人生の希望はいたるところにあります)
です。
中学時代、担任で部活の顧問から性被害に遭った私は、念願の中学卒業を果たします。そして、進学先の高校で楽しい学校生活を送る予定でした。
しかし、高校では思いもしなかった出会いが待っていました。
今回はそのきっかけとなる出来事についての話です。
恐怖の出会い
高校は船橋市の県立高校に入学しました。正直に言うと自分で選んだ学校ではありませんでした。
加害教諭から
この学校を受験しろ
と命令され、受験し合格しました。
もっといい学校も狙えたと思いますが、逆らうと何をされるかわからないため言われるがままにしていました。
行きたい学校を選ぶという感じでは全くなかったです
確か入学式の前だったと思います。ジャージなどを購入するために中学時代の同級生数人と一緒に高校に行きました。
ジャージなどを購入して帰ろうとした時、体育館で男子バレー部が練習していたので、練習を少し覗くことにしました。
その時が私と高校時代のバレー部の顧問との初めての出会いでした。
最初は自分の目の前にある光景が信じられませんでした。
「なんだこいつは…」
と言った感じでした。
彼の風貌はとても高校教師と言えるものではありませんでした。
180を優に超える身長の持ち主である彼は、髪型をオールバックにして少し茶色がかった眼鏡をしていました。
最初見た時の印象は「タッチの柏葉英二郎そっくり」と言うものでした。
実は、彼は元オリンピック日本代表候補と言う経歴の持ち主でした。
それを聞いた周囲の人間の中には彼に興味を示す人間もいました。
しかし、私からすればバレーボール界の頂点を極めかけた人間=生徒を殴る暴力教師と言う印象でしかありませんでした。
危険人物としか思えなかったです
私は彼の異様な姿を目の当たりにして
「俺の高校生活終わった…」
と入学前に感じていました。
バレー部に入部したら間違いなく毎日暴力三昧の日々が始まる、そう考えた私は帰りの電車の中で同級生らに「どうしようか?」と相談していました。
彼らは「見た目とちがう場合もあるから」「入ってみないとわからないよ」と笑いながら私をからかうのですが、こちらはそんな気分にはなれません。
ちなみに、どうしようもなく困った私が
先手必勝でとりあえず先に殴ってみようか?
と言った時は、
それは相手の思うつぼ
と却下されました…。
とにかく高校入学前から私の先には希望と言うものがありませんでした。
ためらいながらの男子バレー部入部
高校に入学した後バレー部に入部するかは迷いました。
あの極道としか思えない教師の下でバレーボールを続ける自信がまったくなかったからです。
しかし、他にやるスポーツも特に思い当たりません。
やむなく体育館に行きバレー部の練習に少しだけ参加することになりました。
当時の事はよく覚えています。
上級生は身長が高く180センチを超える人間がかなりいました。
高校ではネットの高さも違いますが、身長もかなり違いました
私が入部した時点では、私より身長が低いのはおそらくマネージャーだけでした
「これじゃあ試合に出られるかわからないな」と思い「どうせ退部するなら早めにやめよう」と入部早々決意しました。
しばらくして練習が始まりました。
極道教師はまだ練習に来ていません。
しめた!もしかしたらあいつはバレー部の顧問じゃなくなったのかもしれない
と私は淡い期待を寄せました。
しかし、すべての期待が裏切られる時が来たのです。
失われた希望
体育館の横にある体育教官室から彼が出てくるのが見えました。
とうとう来たか…
という感じでした。
絶望への第一章の始まりです…
彼が体育館に足を踏み入れた瞬間
「よし、今日からお前は女子バレー部の顧問だ。いいかそれ以上進むな!女子バレー部のコートで止まるんだ」と心の中で彼に語り掛けました。
しかし、彼は無情にも女子バレー部の練習しているコートを平然と通り過ぎました。
そうか!お前は体育の教師だったな!
よし、お前は多分剣道部か柔道部の顧問になったんだろう!
そうだ!そのままここを通り過ぎて柔道部たちの所に行くんだ!
と心の中で叫んでいました。
祈るような気持ちでした
そう心の中で彼に語り掛けた私を横目に、彼はマネージャーの先輩の横にあるパイプ椅子に腰を掛けてしまいました。
…………すべては終った
というのがその時の気持ちでした。
中学時代はキチガイ教師から性被害に遭い、高校では極道です…。
ツイていない人間はとことんツイていない
と思わざるを得ませんでした…。
地獄には悪魔しかいませんでした…
練習中も背後からビシビシと視線を感じました。
まずい、少しでもミスをすると殴られる
と思った私は、パス練習の際にもミスをしないように気を付けていました。
本当には背後から凄い気配を感じていました
しかし、とうとう限界が来ました。
マネージャーたちの説得により退部をとどまり部活動の継続へ…
練習を続けて30分後の事です。
マネージャーの先輩と1学年の上の先輩に
帰らせてください…
と言いました。
正直限界でした…
マネージャーの先輩と1学年上の先輩は私を体育館の外に出しました。
彼らは笑って
大丈夫だよ。怖くないから
もう少し頑張ろうよ!
と言うのですが、正直それどころではありません。
正直「黙れこの悪魔の手先め!」と思っていました
私の退部の決意は固かったです。
もうだめです!
あいつ怖いんですよ!
何とかしてこの場を去りたいと思っていた私は必死で現在の置かれている状況がいかに異常なものであるかを説明して、逃げ出そうとしました。
ただ
とにかくあと1週間バレー部にいてくれ
もう少し一緒に練習しよう
と言う彼らの姿を見て
学校生活もあるからな…。ここで変にもめるのもよくないかな
そう思った私は彼らと一緒に体育館に入り練習を続けました。
ただ、
1週間以内に絶対退部してやる
と言う気持ちは変わりませんでしたが…。
まさかこの時の決断が、私の人生に影響を与える出来事につながるとは思ってもいませんでした…。