性犯罪・セクハラの二次被害を防ぐために社会が取るべき対応とは
性犯罪やセクハラの被害者が受ける「二次被害」が深刻な問題となっています。
現在、被害者が声を上げた後も、職場や社会からの無理解や嫌がらせに苦しむ事例が後を絶ちません。
この問題にどう向き合うべきか、考えてみたいと思います。
二次被害とは何か?
二次被害とは、性被害を訴えた被害者が、その告発によってさらなる精神的・社会的な苦痛を受けることを指します。
例えば、被害を会社に相談した際に適切な対応が取られず、無視されたり、逆に被害者が職場から孤立したりする場合などを言います。
また、加害者から「人格障害」などと根拠のない中傷を受けることもあります。
読売新聞デジタルでは、ある接着剤メーカーでセクハラを訴えた女性は、会社から希望しない異動を命じられたり、加害者による誹謗中傷を放置されたりするなど、さらに追い詰められたという記事が掲載されています。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20241124-OYT1T50073/
私たちの生活している社会には、このような事例が多く存在しているのです。
被害者が声を上げる難しさ
性被害を受けた被害者が声を上げるのは非常に難しい行動です。理由の一つは、性犯罪の性質上、客観的な証拠が乏しい場合が多いからです。
また、告発した際に「お金目当て」「虚偽の訴え」といった疑念を持たれたり、組織から排除される可能性を恐れたりするケースもあります。
読売新聞の記事では、被害に遭った女性が「加害者が守られ、被害者の自分が悪者になっている」と憤っています。
被害者が精神的に追い詰められる一因となるのは、社会の無理解と偏見が原因の場合が多いです。
この間記事になった大阪地検トップによる準強制性交事件では、被害に遭った女性が検察庁に被害を告発すると、同僚の副検事から「虚偽告発」といわれ、その結果、被害者は検察庁内に居場所を失ったといいます。
法制度の問題点と改善の必要性
現在、男女雇用機会均等法では、企業や団体が被害者への適切な対応をする義務が課されています。
しかし、対応が不十分だった事業者名を公表する権限を持つ労働局が、この権限を一度も行使したことはありません。
厚生労働省が今年1月、セクハラ被害者を対象に実施した調査では、勤務先の対応について、4割が「特に何もしてくれなかった」と回答していることからも、この問題の根深さがわかります。
このような事態を打開するには被害者保護の観点から見ても、事業者への強いプレッシャーを与える措置が求められています。
記事によると、同志社大学の太田肇教授は、「組織は問題を矮小化しがちで、加害者を守る意識が無意識に働く」と指摘しています。
私自身の中学時代の体験
私は中学時代、同性愛者の加害教諭から性被害に遭いました。
その教諭は、転勤先でも生徒から人権委員会に訴えられ、再び転勤しています。
奇妙なのは、私が中学当時の学年主任(転勤先で加害教諭と一緒だった)によると、「栗栖君の親が人権委員会に訴えた結果、加害教諭が転勤した」と言いますが、私の親はその事実を否定しているのです。
一方で、その学年主任は「加害教諭が問題を起こし、生徒が人権委員会に訴えたのは事実」とも述べています。
この件を松戸市教育委員会に伝えましたが、「昔のことだから分からない」と言われ、私はいまだに納得できない思いです。
私の経験から感じるのは、組織は自分たちに不都合な事実があると、「その事件だけの問題」や「偶然の出来事」として処理し、組織時代に本質的な問題を認めようとしない傾向があるということです。
冤罪の懸念と被害者保護の両立
性被害を訴える際に、冤罪のリスクがあることも事実です。
しかし、冤罪を理由にして被害者の声を軽視するのは間違いです。
少なくとも、訴えを受けた際に被害者の話をしっかり聞き、適切な対応を取ることは最低限必要なことと言えます。
すくなくとも、4割もの被害者が「会社が何もしてくれない」と訴えている現状は変えるべきだと思います。
社会全体での理解と支援を
性被害と二次被害を防ぐためには、被害者への偏見をなくし、社会全体が理解を深めることが必要です。
加害者が守られ、被害者が「悪者」にされるような現状を変えるために、次のような取り組みが求められます:
- 職場の透明性向上: 第三者による客観的な調査体制を整える。
- 公的窓口の充実: 性被害者が匿名で相談できる窓口や、専門家によるサポート体制を強化する。
- 教育と啓発: 職場や学校で性犯罪やセクハラに関する教育を徹底し、偏見を減らす。
被害者が安心して声を上げられる社会を築くことは、私たち全員に課せられた課題です。
もし泣き寝入りが当たり前になれば、その会社は長い目で見た場合「働きたくない会社」となり、継続的な存続が危ぶまれることになります。
また、「そんな社会で働きたくない」と考える若者が増えて、海外に職を求めることになれば、日本社会の発展自体が経ちいかなくなります。
こういった問題を「被害者だけの問題」と考えるのは明らかに間違っています。
働きやすい環境を作ることは、企業の存続及び日本社会の継続的な発展に必要なことです。
一人ひとりがこの問題について正しく理解し、行動することが必要ではないでしょうか。
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