子どもたちの悩みに寄り添う相談窓口の在り方

いじめ、不登校、虐待――。多くの子どもたちが、声にならない苦しみを抱えています。

これらの課題に対処するため、こども家庭庁はプロジェクトチームを立ち上げ、子どもがちゅうちょせずに相談できる環境づくりを進めるとのことです。

https://digital.asahi.com/articles/ASSCV32G3SCVUTFL01PM.html?pn=4&unlock=1#continuehere

これは今までに比べると、一歩前進と言えると思います。

しかし、一番必要なことは、相談窓口を増やすことだけを目的とするのではなく、それを本当に「使いやすいもの」にすることだと思います。

目次

相談窓口の現状と課題

子ども向けの相談窓口は行政や民間によって設置されていますが、その存在自体が十分に知られていないケースが多いです。

実際、自殺やいじめ問題が発生した際に、ヤフーなどが実施するアンケートでは、半数以上の人が「どこに相談すればいいかわからない」と答えることが少なくありません。

また、窓口の存在を知っていても、それが利用しやすいかどうかは別の問題です。

「子どもが利用しやすい窓口」とはどんなものか?

それは、「悩みを安心して話せる場所」です。

しかし、多くの子どもにとって、初対面の相手に自分の内面をさらけ出すのは非常にハードルが高いです。

相談員との信頼関係が構築されていない場合、ほとんどの場合、子どもたちは本当の問題を話しません。

場合によっては、黙ったまま帰ってしまうことすらあります。

信頼関係の構築こそが鍵

そう考えると、窓口を設置するだけでは不十分であることがわかります。

相談環境を整備するうえで何よりも重要なのは、子どもと相談員との信頼関係を築くことです。

私自身の体験より

私は中学時代に担任で部活の顧問だった同性愛者の加害教諭から性被害に遭いました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/4c3f08455a7e1c422c7390bdcf7a09d41a362ebe

この時、私は何度も学校の教師に助けを求めたのですが、ほとんどの教師は私を助けようとしませんでした。

また、私は特に学業的にも問題なく、生活態度も問題がなかったのですが、月に最低2回は1日4,5時間残されていたのですが、彼らはこのことについて「なぜそんなことをするのか」と加害教諭に問いただすこともなかったです。

暗い体育館内に加害教諭に残されたときも、誰もその事実を確認しませんでした。

当然ですが、私は当時の教師たちを信頼していません。

「この人たちには何を言っても無駄」というのが当時の学校の生徒の多くが感じていたことだと思います。

実際のところ、このようなケースは決して珍しくありません。

取材の時に聞いた話

私は2018年3月12日に、秋山千佳さんの取材を初めて受けたのですが、その時秋山さんに言われたのが「多くの子供は最初は何も言わない。数時間話した後にようやく『実はこんなことが…』と言い始めるんです」という事でした。

このことから、相談業務というものは10分20分で終わるものではなく、かなり長い時間をかける必要があることがわかります。

すなわち、雑談などを通じて、子供と大人の信頼関係の構築をしっかりすることこそが、相談業務のカギと言えるのです。

窓口を再設計する必要性

そのため、単に相談窓口を増やすのではなく、「相談しやすい窓口」の設計が求められます。具体的には以下のポイントが重要です:

  1. 信頼を築くプロセスの導入
    窓口では、雑談や子どもが気軽に立ち寄れる環境づくりを重視すべきです。親や教師に隠れてでも相談できる匿名性やプライバシーの配慮も必要です。
  2. 相談員の質の向上
    子どもの言葉を丁寧に拾い上げ、寄り添える人員の確保が欠かせません。経験と適切なトレーニングを受けた人材を配置することが求められます。
  3. 子どもたちへの窓口の周知
    子どもたち自身が「ここなら話せる」と思えるような広報活動も不可欠です。SNSや学校でのアプローチが有効でしょう。

最後に

この記事を書くにあたって改めて感じたのは、子どもたちが安心して相談できる環境をつくることの難しさです。

しかし、だからこそ私たち大人が率先して環境を整えるべきではないでしょうか。

現在日本は少子化が進んでいます。

少子化を食い止めるには、子供を育てやすい、そして、子供が育ちやすい環境を整える必要があります。

そのためには、一人ひとりの子どもの命や心を守るため、相談窓口の設置だけでなく、運営方法や相談員の質にも力を入れていく必要があります。

問題解決の第一歩は、子どもたちとの信頼関係を築くことからです。

それが、真の「相談しやすい窓口」につながると信じています。

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